1.地球生物の根源は天然自然の水とミネラル
天然自然の水と、ミネラル
どちらも人間のみならず地球上のいかなる生物でも作りだすことができないものです。
そして我々が生き続けるために必要な両者でもあります。
地球は水の惑星です。
海洋の表面積は、地球全体の約71%を占めています。
その広大な海の中で誕生した単細胞が始まりとなり、やがて多種多様の動植物が海や陸に生まれました。陸地に生物が誕生したのは、蒸発した海水が雨となり陸地を水で潤したからです。
地球に生きる全ての生物の源は海であり、そして、海・陸のどこで生活しているかにかかわらず、生物にとって生きるために必須なものは水なのです。
海から陸に上がった動植物にとって、海水を体内に多量摂取することは塩分過多となり有害です。
しかし、海水に多種多量に含まれるミネラル成分は、地上の動植物が生存するために欠かせないもの。そして、海洋中に生存する動植物や魚介類にとってもミネラルは生存のために必要です。
ミネラルとは無機物であり金属元素です。
ミネラルは動植物の体内に取り込まれた場合、体内の水分の中でプラスもしくはマイナスの電荷を帯び、エネルギーを産生して体細胞や体内組織作りに貢献し、生体を維持するための指揮命令系統を司る働きをします。
ただし、水銀・ヒ素・鉛・カドミウム・セシウム・ストロンチウムなど一部有害なものもあります。
この金属元素が地球で最も大量に存在する場所は地球内部のコア(核)、次いで海洋水の中です。
地表でも岩石・土中にも含まれているので、植物が生育するのです。
2.常量微量ミネラル、必須微量ミネラル
ミネラルは体内にあって必須栄養素となる微量な金属元素です。
体を作り、また体を動かすために欠かせない栄養素であるため、“生体微量元素”といわれています。
※ リン、イオウは非金属元素ですが生体の構成・維持に必須で、ミネラルといわれています。
ミネラルの働き
人間の体は、体重の96%の部分が四つの主要元素である「酸素」「炭素」「水素」「窒素」が結合してできており、残りの4%をミネラル(生体微量元素)が占めています。
人間が食材として摂る炭水化物、脂質、蛋白質の三大栄養素、それにビタミンもほとんどはこの四大主要元素の分子結合でできています。
ミネラルの働きで、成長や生体維持・性の分化に必要な酵素やホルモンが作られます。
常量微量ミネラル 7種類
骨や体液を構成する要素として必須のミネラルであり、食物を通じて体内に多く確保できます。
カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、イオウ、塩素。
必須微量ミネラル 14種類
人体に極めて量の少ないミネラルで、普段の食材からは摂取しにくいものもあります。
鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、ケイ素、セレン、モリブデン、コバルト、クロム、バナジウム、ゲルマニウム、リチウム、ニッケル。
3.ミネラルの主な働きとは
1)身体の構成材料
カルシウムやリンなどは、歯・骨などの硬組織を作る原材料となります。
2)酵素やホルモンの産生・活性化と代謝機能の向上
人間の生命活動は、成人では約60兆個ある細胞が栄養素を摂取することで維持されています。
“食材を栄養素に作りかえる約3千種類の消化酵素”
“代謝活動を促進する2千種類以上の代謝酵素”
“それら酵素を生成させ分泌させる命令をだす100種類以上のホルモン”
これらの産生に酵素は触媒としての働きを担っています。
性の分化と性別の特徴は、ホルモンによってなされます。
そして、ミネラルがなければ、酵素とホルモンは作られません。
3)ビタミンの活性化による生体機能維持
ビタミンは、ミネラルの助けがある場合には体調維持に効果を発揮します。
逆にミネラルが不足している場合は効果を発揮せず体外に排出されます。
4)身体のpH(水素イオン濃度)を安定的に調整
人の体液はpHが約 7.3~7.4の弱アルカリ性が良好な状態です。
ミネラルは、体液が酸性に傾きかけた場合、アルカリ性に戻す働きをします。
( pH 7.0=中性、 pH 7.0未満は酸性、 pH 7.0 を超える場合はアルカリ性 )
5)細胞浸透圧作用の保持・調整機能
細胞は、細胞膜を通して外部の栄養素を取り入れ、体内の老廃物を排泄しています。
この作用を正常に保つため、ミネラルは細胞内液と細胞外液のバランスを調整します。その主役はカリウムとナトリウムです。
6)神経系の正常な働きを維持
身体機能を正常に作動させる神経系全般の機能維持に貢献しています。
4.人はどのようにしてミネラルを摂取しているのでしょうか
人間にとって最も広く一般的なミネラルの摂取方法は食事です。
多種類のミネラルを豊富に含んでいる食材は、天然の魚介類・海藻類、海塩・岩塩です。天然水を採水したミネラルウォーター、良質の井戸水や湧き水などを飲用しての摂取もあります。
穀物・野菜や果実類は、土中の水分に溶け込んだミネラル分を根から吸収します。
牛・豚・鶏は、その草類や穀類を餌として育つことでミネラルを体内に蓄積します。
海中にいる魚介類は、植物・動物プランクトンや小魚を食することでミネラルを体内に蓄積します。
人は、それらの食材を摂取することで体内にミネラルを取り込みます。
ところが、現代の農畜産物からは、摂取できるミネラル量が急速に減少しています。その理由は、多作のための温室栽培により吸収できるミネラル分が減少、水耕栽培によるミネラル分が少ない作物、化学肥料や化学飼料の化学物質と結合することによるミネラルの減衰などによるものです。
また、加工食品の場合、製造段階で少なからずミネラル分が除去されることに加え、人体内のミネラル保存料などの食品添加物と結合したうえで排出されてしまうことが起きています。
このように、食材から摂取するミネラルはどうにもこうにも不足気味となっています。
食材からバランスの取れた栄養を採ることができない状態は、“現代型栄養失調”と称され、ガン・糖尿病・アトピー性皮膚炎・ストレス性疾患などの生活習慣病の大きな要因になっています。
せっかく摂取したミネラルも、汗と呼吸で失われていきます。
汗の主成分は水であり、また息のなかにも多くの水分が含まれています。それらの体外に排出される水分の中には、総量が体重のわずか4%にしかすぎないミネラルも含まれています。
ただでさえ不足になりがちなミネラルが、気づかぬうちに汗や呼吸と共に失われていきますので、常に適度な補給を心がけるべきです。
ここから、水のお話に戻ります・・・
5.人間の体は水で満たされ、色々な役割を果たしています
【 さまざまな水の役割 】
① 利尿作用 新しく摂取した水は体内の古い水分を押し出します
② 排泄作用 便を柔らかくして排泄しやすくします
③ 発汗作用 外気温の上昇により上がろうとする体温を下げるために発汗します
④ 解熱作用 風邪や病気などで上がった体温を発汗によって解熱させるばかりではなく、代謝を促進させることによって体内の発熱原因を緩和し、解熱の効果を上げます
⑤ 希釈作用 水は毒物を薄める希釈剤として働きます。有害な薬物でも充分な水を飲むことで薄められれば、害が薄まります。お酒や睡眠剤の飲み過ぎには充分な水を!!
⑥ 鎮静作用 興奮したときに水を静かにゆっくり飲むことで、精神と神経に好ましい鎮静作用を与えます
⑦ 強壮作用 水の働きにより消化器が活性を帯び、消化吸収を促し、血液やリンパの流れを良くし、各組織に栄養を富む体液を送ります。
円滑な排泄作用と関係しています
⑧ 嘔吐誘発作用 悪い物を食べた時、特に食中毒の場合などは水を飲んで吐くのが一番です。吐いたら今度は多めに水分を補給することが大切です
⑨ 嚥下(えんげ)補助作用 喉に食べ物がつかえた時、飲み込む助けをします
⑩ 睡眠作用 就寝30分~1時間位前に、コップ一杯の水を飲むのが効果的です。
鎮静作用と関係しています
⑪ 結石生成抑制作用 結石になる前の小さく細かい状態のものを排出します
⑫ 血栓生成防止作用 良質の水をいつもたっぷり摂取しておくことで、さらさらな血液が作られ、血流が良くなり血栓ができるのを防止します。特に、就寝前と起床時に飲むコップ一杯の水は、とても重要です。就寝中に汗と呼吸で体内の水分が放出され、その結果で濃くなった血液の希釈に大きな役割を果たします。動脈硬化による脳梗塞、心筋梗塞を防ぎ、深部静脈血栓症であるエコノミークラス症候群の防止にも有効です
⑬ 有害物質排出作用 薬剤飲用で取り込んだ副作用物質や食品の防腐剤・合成着色料等の排出を行います。それらの有害物質の排出は水でしかできません
水は、体を作る大切な原材料です。
成人男性の体重の60%は水分であり、大別すると“細胞内液”と“細胞外液”に分かれます。
細胞内液は細胞膜の内側に存在する細胞内部の水分、細胞外液は細胞膜の外部に存在する水分です。
血液・リンパ液・消化液などは細胞外液であり、“体液”とよばれます。
体液は健康を向上させ維持するために、常に良い状態に置いておく必要があります。
体内の水は、体内をきれいに掃除をしてくれる役割を果たしています。
良質で目の細かい水は、摂取することで利尿作用を促し、老廃物を含んだ古い水分を尿・便・汗・呼気の形で体外に排出しようとします。
言ってみれば、体内を整理・整頓して健康的な環境作りをするお掃除担当さんといえます。
体内に酸素と栄養を運んで体を作るのも、二酸化炭素と排泄物の排出にも働く水。
食事で摂取した栄養素は、胃や腸などの消化器官で分解・吸収され、血液に取り込まれます。
また、肺で吸収した酸素も血液に取り込まれます。
それらの栄養素と酸素を吸収した血液は、全身を網の目のようにくまなく走る血管を通して、体のすみずみの細胞に運ばれます。
常に血液から供給される充分な栄養素と新鮮な酸素により、休むことなく細胞の新陳代謝が行われ、免疫細胞も充分に機能して健康を守り続けます。
酸素・栄養素を運び終わった血液は、続いて二酸化炭素と老廃物の排出にむけて働いています。
6.とても大切な体内の水分 だから良い水が必要です
人の体の膨大な数の細胞のすべてに水分が含まれています。
すべての細胞内には、DNA・RNAを収めた細胞核やエネルギーを作り出すミトコンドリアなどが存在します。ですから、細胞そのものが生き生きしていることはとても大切です。
また、細胞外には血液・リンパ液・脊髄液をはじめ、消化液や汗・涙・尿、羊水や母乳、精液・膣液など、水なしでは作りえない物質が多々存在しています。
それら体内の水は“体液”とよばれており、さまざまな形状と働きで体機能維持に貢献しています。
体内の水は、人体を作り、人体を機能させるためのもの。
良質であることが求められます。
人間の細胞は60兆個
母親の胎内で精子と卵子が結合してできた一つの細胞は、細胞分裂を繰り返し、成長がピークに達する20歳頃には男性では60兆個の細胞を持つようになります。
細胞は1個の大きさが1ミクロン( 1/1,000mm)と極めて微小なものですが、体内のタンパク質、核酸、糖質、脂質などを細胞膜が取り囲んでできています。
同じ働きをする細胞は集まって上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織を構成し、この組織が組み合わさって器官を形成しています。
新陳代謝に大きな役割を果たす体内の水分
成人の新陳代謝で、1日当たり約5,000億個の細胞が死滅し、そしてまた、約5,000億個の細胞を作り上げています。
体内の水分は、死滅した細胞を老廃物として体外へと搬出します。また、新しい細胞を生み出すための酸素・栄養分を組織や器官に届けます。
人体に占める水分の割合は、年齢・男女・肥満度によって異なります。
新生児が最も高い約90%で、年を取るに従って比率は低くなり、高齢者では約50~55%となります。
成人男性は体重の約60%が水分、残りの約36%がタンパク質、脂質、炭水化物であり、約4%がミネラルという構成比で組織が成り立っています。
体内組織の水分量は組織によっても異なっています。
成人男性の体重に占める水分量は60%ですが、その内訳は細胞内液が40%、組織液が15%、血液(血漿のみ)とリンパ液が4.5%、体腔液が0.5%です。
【 体内の水分量 】
胎児 約90%
新生児 約80%
乳幼児 約75%
子ども 約70%
成人男性 約60%(同肥満)約50%
成人女性 約55%(同肥満)約50%
高齢者 約50~55%
※ 人体組織の水分量 ・・・・血液90%、 脳80%、 網膜92%
※ 人間以外の水分量 ・・・・トマト90%、りんご85%、魚75%、クラゲ96%
このように体にとって大事な水が体内で不足した場合、それは脱水症状。
脱水症状を起こすと、体温調節の役割を果たす汗が出なくなることで体温が上昇します。
汗や尿が出なくなり、体内に老廃物が溜まって血液の流れが悪くなります。
人は食べ物無しでも2週間は生きられるとされていますが、水無しでは5日が限度です。
細胞や組織へ酸素・栄養素の送り込みが円滑に行われず、二酸化炭素や老廃物の排出が滞るため、最悪では命の危機におちいります。
【 脱水症状 】
体重の約2%の水分消失・・・口や喉の渇き、食欲減退
約6%の水分消失・・・・・・頭痛、眠気、よろめき、脱力感、情緒不安定
約10%不足 ・・・・・・・・筋肉痙攣、循環不順、腎不全
約20%不足 ・・・・・・・・致死
【 脱水症状から起こる重篤な症状 】
① 熱中症
発汗や呼吸から血液中の水分が減少したにもかかわらず水分補給を行わないと、脱水による血液の濃縮のために循環不全を起こし、酸素や栄養素の運搬あるいは体温調節にも重篤な障害を起こすことがあります。これが熱中症です。
② 脳梗塞
脳梗塞とは、脳血管が閉じるまたは狭くなることが原因で、脳組織に酸素、栄養が送り込まれず不足するために壊死、または壊死に近い状態になる疾患。
発症が最も多い時間帯は夜間から早朝にかけてであり、就寝中に水分を採らないために脱水傾向になることが分かっています。
③ 心筋梗塞
体内の水分量が不足することで冠動脈の血流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死、または壊死に近い状態になる疾患。
体液の区分
体液とは、細胞膜を介して細胞内の内側に閉じ込められた水分である“細胞内液”と、細胞の外側にある水分の“細胞外液”を合わせたものです。
細胞内液は体液に含まないことが多いです。
細胞外液には、血液やリンパ液、血管の外の細胞間を満たす組織液、および体腔内の体腔液などが含まれます。
【 体液の種類 】
血液
リンパ液
体腔液 ①漿膜腔液(胸水・腹水・心嚢液) ②脳脊髄液(髄液) ③関節液(滑液)
④眼房水
消化液 ①唾液 ②胃液 ③胆汁 ④膵液 ⑤腸液
汗、涙、鼻水、尿
精液、膣液
羊水、乳汁
人間の体液の構造は、「海水」に極めて近い性質をもっています。
そして、個々の細胞が生存し易いように、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウム・塩素といったミネラル成分を一定のバランスを保つように、微妙な調整を行っています。
この機能は、健康を安定的に維持するために人が生まれながらにしてもつ“ 恒常性維持機能 ”とよるものです。
細胞内液
ミネラルのカリウムやリン酸イオンが多く含まれています。
主に代謝反応に関係。エネルギー産生、タンパク合成、酵素の活性化、神経・筋肉細胞の興奮・収縮、骨・歯の形成、高エネルギー物質の供給、欠乏細胞外液の補充などを担っています。
細胞外液
ミネラルのナトリウムや塩素イオンを多く含み、ほぼ0.9%の生理的食塩水といえます。
血液、リンパ液は細胞外液です。
主に循環血液量の維持、栄養素・酸素を細胞へ運搬、老廃物・炭酸ガスを細胞外に搬出、“血液の pH 7.3~7.4”の維持などを担っています。
7.日本人にとっての美味しい水 それは日本的な味の軟水
水は、安全・安心であることはもとより、健康に良いものであるべきものです。
そして「毎日飲む水は美味しい水で!」と、体の方から自然に求めてきます。
人間のカラダが、美味しい水は安全・安心・健康に良いと自然に判断しているのでしょうか。
日本人が美味しいという水は、日本の自然風土がもたらし続けてきた軟水です。
日本の水には日本の自然風土がもたらした味があります。
日本人は数千年にわたって日本の軟水を飲み続け、民族の嗜好として軟水を美味しい水と体にしみこませてきました。その水を使って、日本料理、茶の湯などの文化も生まれてきました。
軟水は日本人が飲みなれた軟らかさの、美味しい水といえます。
水に味があるのは、純粋なH2Oではないからです。
美味しい水は、天然のミネラル(鉱物分)を含んでいます。
山のせせらぎをすくって飲む水や湧き水が美味しいのは、岩盤の鉱物質に触れあい、鉱石の成分である天然ミネラルを取り込んでいるからです。
天然のミネラルは水の粒を細かくして、水の味を舌で感じやすくし、喉を通りやすくします。
まずい水とは。
例としては超純水をあげることができます。
液体である水H2Oは、水素Hのプラスイオン(2原子)と酸素Oのマイナスイオン(1原子)がとてつもない速度でお互いに引き付け合い離れあって形作られています。
このような不純物を全く含まない水は「超純水」といわれ、特別な工業用水として作られ使用され、味もニオイも無いまったくきれいな“物質”です。
しかし、飲み水としては本当にまずいものです。
超純水はまずいだけではなく、体内の必須ミネラル分をも吸収して排泄に働くので、毒水ともいえます。
まずいと感じる水にはまずい理由があります。
それは健康にもよくないものであることが多いのです。
【 軟水・硬水 】
水には、“硬水(硬い水)”と“軟水(軟らかい水)”とがあります。
ヨーロッパの水の多くはカルシウムやマグネシウムの含有量が多い硬水で、日本の水はそれらの含有量が少ない軟水です。
硬い水は、ノドごしが良くありません。軟水に慣れた日本人には、ひっかかりを感じます。
水の硬さはミネラルであるカルシウムとマグネシウムの含有量により、“ 硬度 ”という指標が使用され、世界保健機構(WHO)のガイドラインでは以下のように分類されています。
軟水 硬度 0~60
中程度の軟水 硬度 60~120
硬水 硬度 120~180
非常な硬水 硬度 180 以上
※ 米国式硬度の計算式 硬度=カルシウム(mg/L)×2.5 + マグネシウム(mg/L)×4.1
美味しい水を決める決定的要素は、“味覚”と“ノドごし ”。
5℃以下では、舌と喉は水の味と滑らかさを判別できず、また、鼻は臭気の確認ができません。喫茶店などで出される氷を入れた水は、水道水であっても冷たくて水質はよくわかりませんね。
常温(15~25℃)で飲むことで、はっきりと水質の良し悪しが判ります。
常温では、水の味覚とノドごしをごまかすことはできません。
8.1日に必用な水の量と摂取の方法
人体の活動維持のために、人は絶えず水を摂取し排泄して、体内の水を循環させる必要があります。
水の循環が滞ると生命活動はストップしてしまいます。
通常の生活で、成人は毎日平均2.0~2.6リットルの水分を排泄しています。
その半分強が尿と大便、半分弱は呼気と汗による排出です。
激しい運動をした場合は、呼気と汗による排泄量は大きく増えます。
健康を維持するためには、排泄された量に見合う水分を摂取しなければなりません。
摂取量が不足すると血漿浸透圧が上昇し、喉が渇き、尿が濃縮されます。
水分の摂取量不足は、健康障害の大きなリスク要因となります。
水分量が不足すると血液がドロドロの粘りのある状態になり、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなります。また、尿の排泄量が少なくなります。
1日最低でも500mlの尿が出ないと体内に老廃物が溜まり、生命にとって危険な状態になります。
人の水分摂取の方法は、飲料水で約半分、食事から約半分です。
バランスの良い食事をされていれば、食材から相当量の水分摂取ができます。
これは、食材に含まれている水分に加え、食材のたんぱく質・炭水化物・脂質が体内で酵素により分解されて水分が作られるからです。
食材から摂取できない不足水分の補給に、毎日約1~1.5リットル程度の飲み水を摂ることをお勧めします。
9.皆様にとても大切な水 飲み方を注意しましょう
水を飲むことによる体調の調整法は、水をこまめに分けて飲むことです。
本当にノドが渇いてから飲むのでは遅すぎます。
少し口の中が乾いたと感じたら、一口二口でも水を飲んでください。
1回に飲む水の量はコップ1杯(180~200cc)が適当?
必ず就寝前と起きぬけ時に各1回この量の飲用を行うことをお勧めします。
就寝時の呼気と発汗で体内水分量が減り、血液濃度が高くなることを防止するためです。
軽い運動後には400cc、激しい運動後には800ccの水を飲むようにとの案内を見受けます。
量はともかく、一気飲みは止めましょう。
少しの間隔をあけて数回に分けて飲むことをお勧めします。
心拍・血流を穏やかに正常に戻すため、気持ちの鎮静を促すためです。
また、激しい運動で大量に発汗したときには、多くのミネラル分も一緒に失っています。天然塩を少量でも摂ることをお勧めします。
外気温・室温や湿度の高低により、ノドの渇きかたは違います。
普段の日常生活でも、呼吸や気付かないほどの発汗でも多くの体内水分が減少しています。
いつも一気にコップ1杯の水を飲もうとする必要はありません。
ノドの渇き方に応じて、無理のない量の水をこまめに飲めばよいのです。
水を飲むことは健康に大切と考える方に。
水は良質であるほど利尿作用を促します。
老廃物を含んだ尿は、こまめに体外に出しましょう。
トイレに行くのが面倒と我慢してはいけません。
飲みやすい水温は5~15℃、水の美味しさが判るのは常温の15~25℃です。
自分に合った良質な水の見分け方。
それは、常温でコップ1杯を飲んだ後、続けてもう1杯飲みたいと素直に感じる水です。
飲み易いからといって 5℃以下の水だけを飲み続けると、胃腸を弱らせることになり、消化・代謝機能に影響が出ます。
冷蔵庫で冷やした水だけを飲むことにこだわらないでください。
喫茶店で出す水に必ず氷を入れている理由は、5度℃以下の水には人の味覚・嗅覚が及ばず、水道水でも分からないからです。また、氷が水道水で作られていても分かりません。
水を飲まない? 間違った考え方
間違いその1.「水は美味しくないから、ジュースや甘味飲料を飲もう」
糖分の採り過ぎで血糖値が上がり、空腹感を感じず、食事からの栄養摂取にも不適です。
ご自分に合った美味しい水を見つけましょう。
間違いその2.「風呂上りにビールを美味しく飲みたいから、入浴前に水分は不要」
アルコールには利尿作用があるので、十分な水分補給にはなりにくいものです。
入浴中に汗をかき、風呂にも利尿作用があるので、入浴前後の水分補給は必要です。
就寝前にアルコールを沢山飲みそのまま寝てしまうことは、就寝中に血が濃くなり危険です。
10.健康のため水を飲もう
厚生労働省は、平成20年6月に「健康のため水を飲もう推進運動」を開始。
『目覚めの一杯、寝る前の一杯。』
『しっかり水分 元気な毎日!』
私たちが生きていくために「水」は欠くことのできない存在ですが、その摂取量が不十分であることによる健康の障害が多くの悲劇を引き起こしております。
熱中症や脳梗塞・心筋梗塞などは水分摂取量の不足が大きな要因となっており、これらの予防には、こまめな水分補給が効果的です。
就寝前、起床時、スポーツ中及びその前後、入浴の前後、そしてノドが渇く前の適度な水分補給を心がけることが重要です。