[ 米国 自然食品・自然療法・自然医学の権威 アンドルー・ワイル博士 ]
社会不安が高まるとうつ病や慢性的な疲労感を訴える人が増える。
免疫力が低下し、精神病以外の病気にもかかりやすくなる。
さらに東京のような大都会では大気汚染、精神的ストレスなど健康を損なう要因が増す。
しかし自然治癒力を高める努力をすれば、健康を回復するチャンスはある。
自己治癒システムの主作用の1つは血液のろ過である。
心臓・血液・腎臓のトリオはひとつの機能単位をなし、体内に入ってくる有害物質の分解産物を残らず捨ててくれる。
血液浄化のシステムは、余剰物を捨てるに充分な量の水が流れているときに限って、効率よく作動することができる。
発熱、感染、下痢、排尿障害(膀胱や前立腺の障害を含む)、喘息の発作を起こしている人、高温の環境で激しい運動をしている人は充分水を飲まなければいけない。
以上、1995年11月14日 日経産業新聞での記者会見にて
・・・人にとって、いつの世も最も大切なものは健康です。
健康の基本は食事と睡眠ですが、しかし毎日の事ゆえおろそかになりがちです。
昨今コンピューターや通信手段の急速な発達と並行して、入手できる情報量も膨大になり、せわしなく緊張を強いられる日々が連続する時代になりました。
人間関係が複雑多様になり、案件の解決に費やせる時間は短縮し、結果については厳しく求められております。
当然ストレスが鬱積することになり、健康に悪い影響がでていると考えられます。
22年前に述べられたワイル博士のコメントは、現在日本人が抱えている健康問題の勃発を予測し、いかに対処すべきかを示唆されているように思えます。
「健康は、自らで守るセルフケアーの時代」
自分自身で健康に気をつけ、病気にならないように予防しましょう。
Ⅰ.【 健康 】
健康は 人にとって最も大切なもの、自分にとっても家族にとっても それは宝物。
健康には二種類あります 「肉体的健康」と「精神的健康」。
二つの健康は相互に影響を与える関係にあります。
一方のバランスが崩れたとき、他方のバランスをも崩してしまう可能性が高いのです。
人は生まれながらに 健康を維持するシステムを持っています(恒常性維持機能)。
それを裏付けている二つの生きるためのチカラ「自然治癒力」と「免疫力」。
この二つのチカラの基盤となっているのは「バランスの良い食事」と「快適な睡眠」。更にもうひとつ、「自身の健康を、自分でつくり守ろうとする強い意志と実行」です。
生来の持ち物である「恒常性維持機能」を目一杯使おうとする考え方と、その考えを具体的に実践することが、健康を維持し向上させるための基礎になります 。
Ⅱ.【 恒常性維持機能 それを支える自然治癒力と免疫力 】
1.[ 恒常性維持機能 ]
人は、体の外部環境の変化、あるいは生理機能のバランスの乱れに対して、自然に身体の内部環境を 恒常的に快適な一定の状態に保とうとする仕組みを持っています。
この仕組みは、高いレベルの健康状態を維持するために必須のものであり、病気になっても回復することができる素地なのです。
この仕組みを、「恒常性維持機能」と呼びます。
恒常性が保たれる範囲は、体温や血圧、体液の浸透圧やペーハー(pH)などをはじめ、病原微生物・ウイルス・毒物といった異物(非自己)の排除、創傷(キズ)の修復など生体機能全般に及びます。
「恒常性維持機能」を支えているのは「自然治癒力」と「免疫力」の大きな二つの力です。
その二つの力は「免疫系」「精神神経系」「内分泌系(ホルモン系)」の三系統が一体となって担っており、一つのシステムであるといえます。
(1) 免疫系
「免疫系」とは、体外からの病原性生物・異物(ウィルス・細菌・カビ・寄生虫、チリ、花粉等)や毒物の体内進入を防ぎ、仮にそれらが体内侵入した場合もしくは体内に悪性細胞が発生した場合には、それらを除去・消滅させるための生体の機構です。
具体的には、皮膚、唾液・涙・尿、せき・くしゃみ、母乳、強酸性の胃液・弱酸性の膣分泌液、白血球・リンパ球などであり、細胞・臓器・器官など体内組織の各レベルで複雑に作られています。
(2) 精神神経系
「精神神経系」とは、思考内容や刺激に対して各器官を統一的、かつ有機的に働かせる神経の系統のことです。
脳・脊髄の「中枢神経系」と、運動神経・知覚神経・分泌神経・自律神経などの「末梢神経系」に分かれます。
脳や脊髄は、末梢神経系を通じて送られた体内各所における恒常性の崩れた状況を知り、生体機能の正常化や破損細胞の再生に向け、酵素・ホルモンの生成を体内器官に指示します。
(3) 内分泌系 ( ホルモン系 )
「内分泌系」とは、体内合成され100種類以上ある「ホルモンの分泌」に関するものです。
ホルモンは、合わせて数千種類もある消化酵素と代謝酵素の産生を命令する化学物質です。
安定した消化や代謝の活動、性の分化と生殖器官・機能の維持は、すべてホルモンの働きによるものです。
昔から「病(ヤマイ)は気から」と言われます。
「精神神経系」が体の異常を察知したとき、仮に必ず自らの力で治すと強い意思を固めて行動に入ると、「内分泌系」や「免疫系」により活発な動きの変化が生じ、恒常性の修復促進につながることを表わした経験則による格言です。
先人の知恵を示す表現で、「気力は生命力」といった別の言い方をされる人もいます。
2.[ 自然治癒力 ]
自然治癒力とは、生体が疾病にかかっても、その悪さの具合がある程度以下ならば、特別な医療が施されなくても健康状態に回復することのできる力を表わします。
人が生まれながらにして持っている力で、この力があることで人は生きていけるのです。
自然治癒力は、「自己再生機能」と「自己防衛機能」の二つの機能が働いて作用しています。
自己再生機能 : 傷ついたり古くなった細胞を 修復したり再生する機能。
生まれた時には、すでに遺伝子によって細胞が記憶して受け継いでいる機能で、その記憶に従って細胞が壊れても再生されるのです。
自己防衛機能 : 病原菌など進入した異物や変質した自己細胞を 殺傷して体を守る機能。
自己防衛機能として重要なのが「免疫」であり、「SOD」(スーパーオキシドディムスターゼ)です。
3.[ 免疫力 ]
免疫力とは、自分(自己)を護るため、自分ではないもの(非自己)をはっきり区別し、それを体から取り除く力をいいます。
免疫は、その成り立ちからして先天性の「自然免疫」と、後天性の「獲得免疫」に分けられます。
自然免疫(先天性): 生まれながらに保持している免疫
獲得免疫(後天性): 生後に、感染・予防接種などによって得た免疫
4.【 SOD(スーパーオキシドディムスターゼ)】
SODとは、細胞を傷つける活性酸素を抑制する機能が備わっている酵素です。
人が呼吸によって体内に取り入れた酸素のうち、約2%は活性酸素になります。
活性酸素は、本来体内に侵入した細菌などを撃退する物質ですが、様々な要因で必要以上に作り出されると、細菌とともに正常な細胞まで攻撃し細胞にダメージを与えます。
この酸素の酸化作用が何倍にも強力になった活性酸素として、スーパーオキシド・過酸化水素・ヒドロキシラジカル・一重項酸素の4種類が知られています。
この活性酸素を抑制しているのが、SODと呼ばれる酵素です。
活性酸素が人体に与える弊害例としては、細胞の遺伝子を傷つけることで「ガン」、血管を傷つけると「動脈硬化」、心臓を傷つけると「心筋梗塞」が挙げられます。
(続く)