健康は自らで守るセルフケアーの時代 4

Ⅶ.[ 食材の消化と吸収 ]

私たちが毎日食べる食材の栄養分であるタンパク質・脂質・炭水化物は、形を変えずにそのまま体に吸収されるわけではありません。

食材は消化器官である口・胃・十二指腸から出される消化液で分解され、形を変えた栄養分だけが小腸から吸収されます。

消化液の分泌器官 消化液(消化酵素) 対象栄養分 形を変えた栄養分
唾液線 唾液(唾液アミラーゼ) 炭水化物 麦芽糖
胃液(ペプシン等) タンパク質 アミノ酸
十二指腸 膵液(膵アミラーゼ) 炭水化物 麦芽糖
十二指腸 膵液(マルターゼ) 麦芽糖 ブドウ糖
十二指腸 膵液(トリプシン等) タンパク質 アミノ酸
十二指腸 膵液 (膵リパーゼ) 脂質 脂肪酸とグリセリン

◎ 膵臓は、膵液として三種類の栄養分を分解する多種類の酵素を産生します。それらの酵素は十二指腸に送り込まれてから、酵素として働きます。

◎ 肝臓はアルカリ性の胆汁を産生し、できあがった胆汁は胆嚢に溜められ濃縮されます。胆汁に含まれている胆汁酸は、消化酵素は含んでいないのですが、十二指腸に送られ、膵リパーゼの働きを助けて脂肪酸とグリセリンを小腸から吸収しやすくします。

 

★ 消化液と血液のペーハー(pH):

唾液pHはほぼ中性(7.0)、胃液は0.92~1.58と強い酸性、膵液は8.5で弱アルカリ性。

血液のpHは7.3 ~7.4。

★ 強酸性の胃液にさらされ分解された栄養分は、十二指腸でアルカリ性の膵液と交じり合うことで中和されて小腸に送られます。

★ ブドウ糖とアミノ酸は毛細血管を通して、また脂肪酸とグリセリンはリンパ管を通して体内に運ばれます。

 

Ⅷ.【 タンパク質、アミノ酸 】

1.[ タンパク質 ]

タンパク質は、細胞を作る一番基本の栄養素であり、最も重要な栄養成分といえます。

その構成は、必ず炭素・酸素・窒素・水素を含んで作られています。

タンパク質は生物それぞれに固有の物質であり、生物を特徴づける物質です。

その種類は数千万あるといわれ、哺乳類では約10万種類が使われています。

すなわち、異なる生物は異なったタンパク質によって、それぞれの生物の形が作られ働きができるようになっているということです。

従ってタンパク質の機能は多種多様であり、「生命はタンパク質の存在様式である」ともいわれています。

人体内には10万種類のタンパク質が存在して、体の大部分を構成しています。

その働きから、「生体の構造を形づくるもの」、「生体内の化学反応にかかわるもの」、「情報を認識したり伝達したりするもの」の3種類に分類されます。

具体的には、身体の筋肉・骨格・爪・皮膚・臓器・毛髪・血管を作るだけではなく、血液・体液、更には体内酵素・ホルモン・免疫抗体・遺伝子など、体の様々な構成細胞の主成分になるとともに、神経系をはじめとする伝達システムにも深く関与しているのです。

また、体内に取り入れたビタミンやミネラル等を運ぶ役目があり、更に身体を動かすのに必要なエネルギー源としても利用されます。

タンパク質は体内で作ることはできず、食事により食材から摂取しなければなりません。

タンパク質は、体内で一定期間のサイクルのもとに分解・排泄・補充を繰り返しており、常に適量のタンパク質を摂取することが必須です。

食事による摂取が滞ると、新しい細胞は作られず死滅した細胞だけが老廃物として体内に残り、やがて死に至ってしまいます。

 

食品には数種類のタンパク質が含まれています。

良質なタンパク質の供給源は肉類、魚介類、卵、乳類、大豆製品であり、これらの食品は多く食事の主菜になります。また、米などの穀類にもわずかながら含まれています。

タンパク質を多く含む食品には脂肪を多く含む場合があるので、脂肪の摂り過ぎにならないように注意が必要です。

体内に摂取されたタンパク質は、そのまま利用されるのではありません。

いったん分解されてアミノ酸になり、肝臓を経由して体内の諸組織に送られ、そこで結合・合成されて改めてその組織に必要なタンパク質に作り変えられるのです。

タンパク質は、アミノ酸が多数結合した高分子化合物です。

アミノ酸の結合・合成は生体細胞の中で行われ、合成されたものは生物の構造そのものとなり、あるいは酵素などとして生命活動の維持に利用されます。

[ アミノ酸を体内合成してつくられるタンパク質 大分類 ]

① 酵素

② 生体構造を形成するタンパク質

③ 生体内の情報交信に関与するタンパク質

④ 運動に関与するタンパク質

⑤ 抗体

⑥ 栄養の貯蔵・輸送に関与するタンパク質

 

2.[ アミノ酸 ]

人に必要なタンパク質は2~3万種類ですが、そのタンパク質を体内で合成するために必要なアミノ酸は、20種類のL体アミノ酸だけです。

アミノ酸は自然界に500種類以上あると確認されていますが、人については20種類のアミノ酸が体内で立体的多重につながりあって、必要な全てのタンパク質を合成しています。

1つのタンパク質を合成するのに必要なアミノ酸の数は、多くは100~400個です。

最小はインスリンの51個であり、1,000個以上を必要とするものも多数あります。

人に必須のアミノ酸20種類のうち、8種類のアミノ酸は食材から摂取しなければならないもので、「必須アミノ酸」とよびます。

その他12種類のアミノ酸は、必須アミノ酸を原料として体内で合成され、「非必須アミノ酸」とよびます。

 

健康のためには、20種類のアミノ酸が常時バランスよく存在することが必要です。

しかし、食のバランスを欠いたときや、体調が悪いとき、高齢者になると、非必須アミノ酸を体内で充分に作れないことがあります。

一部アミノ酸の構成には、イオウ・リン・臭素・ヨウ素・鉄・銅・セレン等のミネラルが関与しています。

(続く)

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