「美容に関して何か努力をしていることはありますか?」
という質問をされたら、あなたはどう答えるでしょうか。
・多くの種類の食材を摂取できるよう、できるだけ自炊をしている
・エステまたはジムに通っている
・早寝早起きを習慣にしている
そんな答えが多いかと思います。
もしかしたら、「水をたくさん飲むようにしています」という答えもかなり多いのではないでしょうか。
スーパーやコンビニではミネラルウォーターや、『〜の天然水』などペットボトルで販売されている水も多く、水道水が安全に飲める国である日本においてこれほど多くの商品があるということは、水に対しての関心の高さが伺えます。
では、皆さんはどのような基準で水を選んでいますか?
この商品としての「水」には、いろいろな成分が含まれているということをご存知でしょうか。
*私たちが飲んでいる水は「純水」ではない
水の化学式はH2Oです。
ですが、私たちが普段飲んでいる水は、このH2Oの化学式で表される「水」だけで構成されているわけではありません。というのも、皆さんご存知のように水はいろいろなものを「溶かす」性質があります。私たち人間は、大昔からこの性質をうまく利用し、生活に役立てて来ました。料理の“だし”をとる、絵の具を溶かす、洗濯をするなど、そのすべては水の「溶かす」性質を有効活用したものです。
逆に、水には様々なものが「混ざりやすい」ともいえるでしょう。だからこそ、水道水の安全な日本においても、「健康に害のあるものが混ざっているのではないか?」という思いから、家庭用浄水器を設置する方が多いのかもしれません。
もちろん、水道水は感染症のリスクなど一定の基準をクリアする必要があり、殺菌のために塩素を添加しているのは仕方のないことです。しかし、都会の水と田舎の水とでは、水道水でも味が違うと感じたりするのは、この「混ざりやすい」性質のためにいろいろな物質が溶け込んでしまうためと考えられます。
そして、水に溶けたものを取り出すには、非常に難しい作業が必要であり、かなりのコストがかかります。研究機関などで、H2Oの純粋を使用しなければならない場合、UVセンサーのついた非常に高額の機械で精製することが必要になってきます。
*水の中に溶け込んでいる「ミネラル」って?
普段から水道水ではなく、スーパーやコンビニなどで買って水を飲んでいる方であれば、「硬水」「軟水」という言葉は聞いたことがあるでしょう。これは、水の中にどれくらいのミネラルが含まれているか、を表しています。
ここでいうミネラルとは、主にカルシウムとマグネシウムを指します。どちらも「イオン」の状態で水に溶け込んでおり、そのイオンの濃度によって軟水か硬水かが決められています。
WHO(世界保健機構)では、このイオン濃度が120mol/Lを基準として、それ以下を軟水、それ以上を硬水と定めています。つまり、硬水にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンが多く含まれているということです。
一般的には、軟水と硬水の間に「中硬水」という分類を含め、0〜100mol/L未満を軟水、100〜300mol/Lを中硬水、301mol/L以上を硬水と呼びます。軟水は口当たりがまろやかで飲みやすく、日本の水道水はそのほとんどが軟水といえるため、日本人に好まれています。一方、ミネラルを多く含むほど“味”を感じられるようになります。ヨーロッパ圏では硬水が多いため、輸入品のミネラルウォーターなどは硬水である場合が多く見受けられます。
では、この「ミネラル」は人間の体の中でどのようなはたらきをしているのでしょうか?
*体の中でのミネラルのはたらき
脱水症状になった時には、「水分と一緒に塩を摂れ」という話は聞いたことがある方も多いと思います。これは、体の中にある電解質(イオン)が汗と一緒に体外に出てしまい、危険な状態になることを防ぐためです。心臓の鼓動も、神経の伝達も、イオンが細胞を行き来することで保たれているのです。しかし、体内にイオンが多すぎる状態でも危険です。高血圧などの症状の一因として塩分の高い食事が挙げられるように、摂りすぎないように注意しなければなりません。
通常、私たちは食事の中に含まれる電解質に加え、飲料水に含まれるミネラルの中からこれらを摂取して、体にとって丁度いい濃度を保っているのです。
*美容の大敵“便秘”と戦うために
美容のために水を飲むという方の中には「便秘解消」を目的にしている方も多いかと思います。では、便秘解消のために効果的な水の摂取方法をご存知でしょうか?
便秘の原因としては、運動不足、野菜不足などが挙げられますが、睡眠不足も実は大きな原因の一つです。大腸の運動は自律神経によってコントロールされていますが、眠っている間にそのはたらきがONになるのです。しかし、眠る直前に食べ物が胃の中に入った状態ですと、消化する方にエネルギーが使われてしまいます。朝起きた時に疲れが残っている、と感じる方は、もしかしたら食生活に原因があるかもしれません。胃の中の食べ物を消化するために、寝ている間も大量のエネルギーを使っていると、睡眠をとっても体は活動しているのと同じ状態なのです。
「寝る前の3時間は何も食べない」というのは、ダイエットのためだけでなく、消化器官のはたらきを正常に保ち便秘を予防するため、しっかりと休養をとり翌日に疲れを残さないためにも非常に大切なことなのです。
また、寝る前の時間にしっかりと水分を取ることも大切です。もしかして、お風呂上がりに冷たい水をゴクゴクと飲んでいたりしませんか? 実はその水の摂り方はあまりオススメできません。消化器官を急激に冷やすと、その動きが鈍くなってしまうのです。また、一気に大量に飲むよりも、少しずつ長い時間をかけて摂取する方が体にとって負担なく吸収できるのです。
オススメの水の摂り方は、一度沸騰させて冷ました白湯、または常温の水を少しずつ飲むこと。こうすることで効率よく吸収でき、消化器官の動きを鈍らせることなく、睡眠に入ることができます。
では、硬水と軟水、どちらを選ぶとより効果的でしょうか?
「水、ダイエット」などで検索するとすぐにわかるかもしれませんね。
答えは「硬水」です。
マグネシウムには、水分を取り込んで便を柔らかくする効果や、出すぎた胃酸を中和してくれるはたらきがあります。実際に医療の現場でも「酸化マグネシウム」は便秘薬として処方されているのです。薬として飲むほどではなくとも、毎日必ず飲む水と一緒に、適量のマグネシウムを摂取することで便秘知らずのカラダを作ることができるのです。もちろん、マグネシウムが便の中に取り込む「水」も一緒に摂取できるわけですから、一石二鳥ですね。
硬水は日本人にとってはあまり馴染みがなく、飲み慣れない方も多いかもしれません。そのまま飲むのが難しい、という方はコーヒーや紅茶、お料理などに取り入れてもいいかもしれませんね。
*体に大切な「微量元素」ってなに?
ちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが、「微量元素」も水の中に含まれるミネラルの一つです。私たち人間の体は、非常に精密な機械のように色々な機能が連携をとって成り立っているのですが、このバランスを整えるためのチェックポイントとして存在しているのが微量元素なのです。携帯電話やスマートフォンなどに使われるレアメタルをイメージしていただければわかりやすいかもしれません。大量には必要でなくとも、不足すると生命維持に重大な支障が出るのです。
例えば、亜鉛が欠乏すると味覚障害が起こるなんて話は聞いたことがあるかもしれません。実は細胞分裂を行うために亜鉛が必要であるため、体の中で新しい細胞が生まれる場所に多く存在しています。
皮膚や髪、爪、などは活発な細胞分裂が行われている場所なので、亜鉛が不足すると正常な機能が保てなくなります。爪にくぼみができてしまい「栄養不足かな?」と思った経験はありませんか? この場合、亜鉛が不足していると考えられます。また、怪我をした時の傷の部分でも活発な細胞分裂が起こっていますので、「傷が治りにくい」「キレイに治らず跡が残ってしまう」というのも、亜鉛の不足が考えられます。特に細胞分裂が活発な乳幼児には不足してはならない微量元素で、粉ミルクなどにも添加されています。
もう一つ、ヨウ素も大切な微量元素の一つです。主に海産物などに豊富に含まれ、昔ながらの和食を中心にした生活の中ではごく自然に摂取していました。しかし、食事の欧米化が進むにつれ、海産物を食べることが以前と比べて少なくなった現代では、ヨウ素が不足している人も多くいると考えられます。ヨウ素が不足すると成長を妨げたり、甲状腺の機能が低下したりという影響があります。一般的に売られている栄養補助食品の中にもヨウ素が含まれているものが多く存在します。ミネラルウォーターの中で「海洋深層水」と分類されるものの中には、このヨウ素を含んだものが多いようです。
*目的にあった水を選ぼう
以上のように、一口に「水」といっても様々な種類があり、その中に含まれるものもそれぞれです。この水の違いを知って、自分の目的にあった水の選び方をすることが大切なのではないでしょうか? 実際に美容と健康のために水を選んで生活の中に取り入れているという方にインタビューをしてみました。
※写真はイメージです
《30代女性・会社員ヒトミさん》
・プロフィール
平日の9時から18時まで、自宅から電車で20分ほどのオフィスで働いている。月末に残業が集中し、月に数日は帰宅が深夜になることも。週に2回程度は体型維持と美容のためにヨガに通っている。
Q. ヒトミさんが水について意識し始めたきっかけはありますか?
A. 実は、以前はそんなに気にしていなくて、正直なところなんでもいいやって思っていたんです。むしろ水をそのまま飲むっていうのが少し苦手で……。職場でもコーヒーばかりでしたし、家の冷蔵庫にあるのも炭酸飲料やオレンジジュースとか、そんな感じでした。料理をするときに使う水も普通の水道水でしたし。でも、なんか美味しくないなって思っていたんです、なんとなく。私は出身が東北なんですけど、実家で食べていたご飯と何か違うなって。今でも時々お米が送られてくるので、米そのものは実家と同じはずなのにどうしてだろうって、不思議に思って親にきいてみたんです。「同じお米なのに、美味しくないんだけど、炊き方がいけないのかな?」って。そしたら、「もしかして、水が美味しくないのかもよ?」って言われて。それで、「じゃあ、今度お米と一緒にお水も送ってよ!」と頼んでみたんです。ありますよね、どこでも『?の天然水』みたいな、ご当地の水が。それで炊いたご飯が、まさに実家の味だったんですよ。それで、水でこんなに味が変わるんだ! と思って興味を持ち始めたのがきっかけです。
Q. どんな点を意識して水を選んでいますか?
A. そうですね、美味しくて美容にいい使い方ができたらいいなって思っています。先ほどお話したように、水をそのまま飲むっていうのが苦手だったんですけど、それって良く考えたら水道水独特の匂いが苦手だったみたいで……。少し消毒というか、そんな感じの匂いがありますよね? だからコーヒーとか、味のするものに逃げていたんです。でも、水もいろいろな味があるんだってことに気づいてからは、もしかして自分の好きな味の水があるかもしれないって思い始めました。今は、飲み水は軟水を選んでいます。ヨガの時はどうしてもたくさん飲みたくなるので、硬水にするとちょっと飲みにくいし、お腹がゆるくなりそうで不安だな、と思って。
料理の方は、逆に硬水を使っていますね。実家から送ってもらった水も、調べてみたら硬水の分類になるみたいで、もうそれ以外で炊いたお米はやっぱり美味しいと思えなくなっちゃって。でも、毎回送ってもらうわけにもいかないので、送ってもらった水と近いものが含まれているミネラルウォーターを探して、ウォーターサーバーを入れちゃいました。自宅で飲むコーヒーや紅茶も硬水を使っています。
Q. 水を意識するようになってから、どんな変化がありましたか?
A. 劇的な変化っていうほどでもないんですが、お通じに関して悩むことが少なくなったかな、と思います。あとは「あ、いま水分足りてないかも!」と思って、意識的に飲むようになりましたね。忙しい時期とかは、お手洗いのために席を立つのが面倒な気がして水分を控えることもあったんですが……。そういうのも、代謝が落ちる原因になるんじゃないかなと思って、今はやめました。
*大切なのは「無理なく続けられる」こと
美容と健康のために、自分にあった水を選ぶことはとても有効ですが、こだわりすぎて続かない方法ではなんの意味もありません。ヒトミさんのように、用途に応じて使い分け、無理のない範囲で続けられる方法を見つけることが大切です。
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