MCM(マリーナクリスタルミネラル)の歴史

朝日新聞 1996年(平成8年)10月26日

海水ミネラルにがん抑制作用

海水から抽出したミネラル分にがん細胞の増殖を抑える働きがあることを、日米の研究グループが突き止め、二十七日、フランス・ニースで開かれる「将来の腫瘍(しゅよう)学および腫瘍治療学国際シンポジウム」で報告する。
ミネラル分は海水約十リットルから一グラム得られる。糖尿病や肝機能障害の治療にも注目され、大学病院などが臨床効果を調べている。
共同研究の医師らは「豊かになったはずの現代の食生活だが、本当に必要な微量栄養が欠けている」と指摘している。
発表するのは、米ドリュー大のM・ゴーナム准教授と、財団法人基礎腫瘍学研究会腫瘤(しゅりゅう)研究所(東京・国分寺)の小椋武・特別研究員。
国際シンポでは、ゴーナム准教授が①がん細胞三種を培養する実験でミネラル分を与えると、四割まで増殖が抑制された。②がん患者五人に五ヵ月間、一日体重10キロ当たり0.七グラムのミネラルを与えると、がん細胞を攻撃するリンパ球ナチュラルキラー細胞の活性がいずれも二倍近く上昇した——と報告。小椋研究員は末期がんの患者に与えて延命効果があったと思われる症例を紹介する。
海水からのミネラル分の抽出方法は、同研究所付属の海洋化学研究会が開発した。茨城県大洗海岸沖の海水を採取。加熱・ろ過を繰り返して塩分や人体に有害なものを除去し、冷凍状態で棒状の結晶にする。
海中プランクトンの有機成分も取り込まれ、体に吸収されやすい。糖尿病や肝機能障害での効果が確認されているという。
現在、大学病院や一般病棟二十ヵ所ほどで臨床研究が進んでいる。

岡田正・大阪大医学部教授(小児外科・微量元素)の話
非常に面白い研究だ。微量元素も、それだけ取り出して人工的に与えればよいものではないと分かっている。海水から抽出したことで、独特の結合状態が出来ているのではないか。

ろ過し抽出
糖尿病治療でも注目

【画像】
棒状に結晶したミネラル分。
製造直後は透明で、粉にして服用する=東京都国分寺市東戸倉一丁目の腫瘤研究所で

 

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