健康は自らで守るセルフケアーの時代 3

Ⅵ.【 快適な睡眠 健康のために必須です 】

人は、活動・食事・休息を繰り返して生きており、休息で最も大切なものが「睡眠」です。

睡眠は、食事と共に本能に基づく生理的欲求で、短期的には栄養の摂取よりも重要です。

快適な睡眠は、良質な食事とともに、健康のために必須のものです。

睡眠が不足の場合に最も影響のある精神活動は、「気分」、「記憶力」、「集中力」です。

そして、「気分」、「集中力」は、「精神活動の安定」に大きな影響を与える要因となります。

睡眠には、体を横たえ蒲団(ベッド)の中で眠る「寝る(横になる)」と、日中座ったまま眠る「居眠り」とがあります。

「寝る」時間は個人差がありますが7時間程度、午睡の目安は15~30分程度を午後1~3時頃にとるのが良いとされています。

睡眠中は刺激に対する反応がほとんど無くなり、一般的に精神活動は停止し、身体的距離移動、周囲で起きていることへ注意を払うなどの活動も低下します。

 

1.[ 睡眠の果たす大きな役割 ]

外界に対してまったく無防備な状態になる「睡眠」が、何故必要なのか記します。

(1)脳を休めること

脳の重量は体重の約2.2%にもかかわらず、総ての活動を統轄する司令塔であり、覚醒時には全身で使うエネルギーの約20%もの量を使っています。

脳を酷使すると、集中力や記憶力が低下し、イラツキ等のストレス現象が生じるため睡眠という休息が必要になります。 睡眠は体の疲れをとるものだと思われがちですが、体のための睡眠は全体の5分の1ほどで、実際は脳の疲れを取るものです。

(2)心臓を休めること

体を横たえて眠る「睡眠」は、酸素や栄養を血液の流れに乗せて送り続けている心臓の活動負担を、軽減する大きな役割を果たしていいます。

心臓は血圧120以上を維持しつつ、血液を引力に逆らって自分より高い位置にある脳へ送り込むポンプの役割(筋力活動)を行っています。

(3)成長ホルモンの生成と分泌

人の健康維持と成長に必要な成長ホルモンは、主に睡眠中に生成・分泌されます。

成人で毎日5千億個の古い細胞が死滅し、新たに5千億個が生成されて入れ替わる新陳代謝は、成長ホルモンの生成と分泌によってなされます。ですから睡眠は欠かせません。

また、創傷の治癒、肌の新陳代謝は、睡眠時に特に促進されます。

乳幼児や子どもにとって「寝る子は育つ」の格言通り、充分な睡眠は必須のことでありますが、大人にとってもアンチエイジング(老化防止)に必須のことです。

(4)造血

血液(白血球、赤血球、リンパ液)は、睡眠中に骨の中(骨髄腔)で作られます。

起きているときは、多くの活動のためにたくさんの酸素とエネルギーを使うので、造血に回す余裕が無いからです。

睡眠不足によって造血が滞ると、細菌・ウイルス・異物に対する免疫力の低下を招き、血液の汚れが増すことで血栓ができやすくなるなど、体調の悪化につながります。

風邪を引いたときによく寝るほど回復が早いのは、免疫力が大きく増すからです。

(5)規則的な睡眠で 良好な自律神経の働き

自分の意思とは関係なく、身体が機能するように働く神経を自立神経といい、呼吸、消化・吸収、睡眠などの生理機能を支配します。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経系をまとめて呼ぶ言葉であり、両者は互いにほぼ逆の働きをします。

人の身体は、日中などの緊張状態では交感神経が働いて、夜のリラックス状態では副交感神経に切り替わる自然のリズムを持っています。

この自然のリズム守るためには、程よい一定の睡眠時間と、自分で定めた起床時刻を守ることが必須となります。

特に起床時刻の厳守は、毎日の一定な生活リズムを築くことにつながり、自律神経の良い働き方にはとても効果的です。

交感神経には、血圧を上げる、脳に行く血液を増やす、胃などの内臓に行く血液を減らす、心拍数を上げる、眠気を覚ます、瞳孔を開く、血糖値を上げるなどの役割があります。

逆に、副交感神経には血圧を下げる、脳にいく血液を減らして胃など内臓に行く血液を増やす、眠くなる、といった役割を果たします。

この2つの神経のバランスが崩れたとき体調不良になり、これが自律神経失調症で、不眠症の要因となります。不眠症になると、更に精神と身体の不調が加速されます。

(6)記憶の固定化

脳は、目覚めているときに学習したことを短期記憶として記録し、睡眠中や外界の刺激を遮断してリラックスした状態で、長期記憶に移行し固定化していきます。

その理由は分かっていませんが、ハーバード大学の実験では、記憶力を高めるためには最低6時間の睡眠が必要で、7.5時間の睡眠が最も効果的との結果が出ています。

(7)肥満防止

睡眠時間が短くなるほど食欲が増しやすく、肥満になるリスクが高くなります。

睡眠時間の短い人は、血中の食欲抑制酵素(レプチン)が少なくなり、食欲を増進させる酵素(グリシン)が多く出されます。

(続く)

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